今年最後の更新(おそらく)は、12月後半の読書ログです。

前半の読書ログはこちら↓

12月後半に読んだのは6冊でした。
師走でバタバタしているしあまり読めないかな?と思っていたのですが、次男に請われて久々に図書館に行ったら読書熱が上がってたくさん借りてしまい、意外と冊数が増えた12月後半となりました。
返却期限に縛られるのが面倒でしばらく図書館から遠ざかってたのですが、やっぱり気軽にいろんな本を手に取れるというのはいいですね。

ではいつも通り評価の高い順から。


 

評価:★★★★★

元々は2003年出版と結構前の本。もう単行本も文庫本もなくて、電子版のみですね。
Kindle版はこちら
これは図書館で借りて読みました。

読書家を自認する人って、話題になってるベストセラー本は逆に読んでないよね。じゃあそんな自称読書家のあなたのために、文芸書評家である著者がベストセラー本を読んでちゃちゃっと内容を説明してあげようじゃないの。
ってな1冊です。
ちなみに私は(本を読むのは好きだけど読書家というほどでもない)、「ベストセラーだから」という理由で読むことはあんまりないですが、話題の本は本屋でも平積みになっていて自然と目に入る機会も多くなり、結果として手に取って読んだ本がベストセラーものだったということは結構ありますかねぇ。
(そういう方が多いんじゃないかと思いますが)

この本、コンセプトからして分かるように、ベストセラー本に対するものすごーく辛口な書評集となってまして。
オジサン向けの人生指南書から、タレントの赤裸々告白本、大作ミステリーまで幅広くベストセラーを取り上げて辛辣な評価をくだしていきます。
本そのものへの辛口評価はもちろん、ベストセラーを読む人も、斜に構えて読まない人も、とにかく全方位をディスりまくり。
冷笑的というか露悪的な文体で、不快に感じる人もいるかもしれません。

・・・が、その辛口でバシバシ切っていくスタイルが私的にはとっても面白かった。
取り上げられている本は2000年前後のものなので「あ〜この本話題になってたよね」と懐かしい気分になると同時に、当然ながら当時読んだ本も何冊かあって「そういう観点での読み方もあるのか・・・」なんて新鮮な気持ちでそれらの本を思い返しました。

この辺り。時代を感じるでしょ?

 

自分が読んだことのある本を他の人がどう読んでいるのかを知るのって面白いですよね。

あと、「この本は要するにこういう内容でっせ」と伝えることが目的の本でもあるので、その要約の的確さが半端ない。これ読めばもう本家の方は読まなくていいっしょみたいなものもありました。
私もこんな風に面白さなり突っ込みどころなりを交えながら、本の内容を端的に伝えられるスキルが欲しいなぁと思いました。

著者の斎藤美奈子さん、前から気になっていて今回初めて読んでみたのですが、期待以上に視点や文体がツボだったので、来年は著書を読破してみたいなと秘かに目論んでいます。


 

評価:★★★★★

図らずも2冊目も書評本。
こちらはKindleUnlimitedの読み放題対象で、ふとしたきっかけで目に入ったので読んでみました。



「考える人」という雑誌の編集長であった河野通和(こうのみちかず)さんが、メールマガジンのために書いていた本の紹介をまとめたものだそうです。

これがまた・・・同じ書評本というジャンルでありながら、上述の「趣味は読書。」とはあらゆる意味で対極的な1冊で。
紹介されている本は、ベストセラーというより知る人ぞ知る隠れた名作みたいなものが多いのかな?全部で25冊ありますが、私が知っている本は1冊だけでした。
単に私に教養がなくて知らないだけかもしれませんが。
取り上げる本の違いもさることながら、こちらは紹介する本への敬意と愛情に満ちた書評で、著者が心をこめて書いているのが伝わってきて、もう書評読んでるだけで泣けちゃうくらい。
書評で泣かせるってスゲーな!!と圧巻の1冊。
紹介されてる本を全て読破したくなります。

そんな真逆のスタイルの書評本、
・趣味は読書。
・「考える人」は本を読む
の2冊ですが、両方読んで思ったのは、本を読んで紹介するにはものすごくバックグラウンドの知識や教養が求められるんだなということ。
その本の内容を深く理解するのはもちろん、ジャンルの中でその本がどう位置付けられるのか、歴史の流れの中でその本の与えたインパクトがいかほどだったのか、そういう周辺の情報まで含めて解説された書評はやっぱり深みがすごくて読み応えがあります。

この2冊を読んで「書評」たるものの奥深さを痛感し、書評本にハマっていきそうな予感がしている私なのでした。


 

評価:★★★★

こちらも図書館で借りたもの。
とある学級崩壊寸前の小学校6年生のクラスを舞台にした連作短篇集。
タイトルの「世界」は「すべて」と読みます。

・軽く扱われているのを何となく自覚しながらも、クラスの中心グループに居続けたい男の子。
・中学受験を目指す優等生で、レベルの低い環境から早く抜け出したいと鬱屈した思いで過ごす女の子。
・空気が読めず切れやすいと問題児扱いされ、居場所のない男の子。
・クラスの女王様的存在と同じグループにいながら、その子への愛憎入り混じる複雑な思いを抱える女の子。
という4人の視点で物語が進んでいきます。
私的には、3つ目の空気の読めない男の子の話が一番グッと来ました。居場所を見つけていくその過程が泣けるのよ・・・。

全体的な雰囲気は、「桐島、部活やめるってよ」の小学生バージョンみたいな感じですかね。

 

それぞれの子供が自分の心情をキレイに言語化できすぎという感はあるのですが、でも、大抵のクラスってこんな感じだよねというのを上手く表現していて。
分かりやすいイジメがあるわけじゃない、明らかに誰かと誰かが敵対してるわけでもない、女王様的存在に心酔してるわけでも嫌悪してるわけでもない、みんなが善良そのものではないけどかと言って完全な悪人でもない。
それぞれがそれぞれに対し、単純に「好き」とも「嫌い」とも言い切れない曖昧な感情を抱きながらも、表面上は何事もないかのように過ぎていく毎日。
そんな狭い世界で周囲とバランスを取りながら生きていくしかない、子供の無力感や息苦しさがリアルによく描かれていて。
自分の小学生時代を思い出しながら、ヒリヒリした気持ちで一気に読んでしまいました。
朝比奈あすかさんの本を読んだのはまだこれで2冊目ですが、こういうの上手いですよね・・・。

すっごく面白かったけど、同年代の子供がいると重ね合わせてしまって冷静に読めないので、そこが困り物ですね。笑。

短編の中では登場人物それぞれにキレイな結末は描いていなくてモヤっとしつつ進んでいくのですが、最後は希望の持てる形で終わるのでホッとしました。


 

評価:★★★★

ハライチの岩井勇気さんのエッセー。
話題になってますよね。

本屋に平積みになっていたのをパラパラと読んだら面白くて思わず引き込まれてしまい、購入に至りました。

「芸人」と言えば、波瀾万丈な半生だったり厳しい下積み時代だったり、はたまたこじらせた自意識過剰っぷりだったり、というのをついつい期待してしまいがちなのですが、そういった世の求める期待に反して、岩井さんは芸人でありながらこれまでの半生も現在の日常も、そしておそらく性格もごくごく普通。まさにタイトルどおり「事件が起きない」普通の人生なのです。
この本曰くね。
でも、そんな淡々とした日常をつづっているエッセーながら、どこかクスッと笑えてしまう文章で。
大笑いするとか「分かる分かる!」と強く共感するとかではないのですが、何となく自分の暮らしと重ねてしまうところがあり、日常にこんな小さなユーモアを見つけつつ生きられたらいいななんて思ってしまう1冊でした。

また岩井さんの次の本が出ることがあれば読みたいな~と思います。


 

評価:★★★

これも図書館で。
かの名著、「負け犬の遠吠え」の酒井順子さんのジェンダー論(と言っていいのかな?)です。

 

「男尊女卑」なんて言葉はもはや今や昔のような感がありますが、でも私たち女性自身にどこか「あえて男性より一段下、一歩後ろに自分たちを置くように振舞っている」ところがあるのではないか?ということを、いろいろな切り口で論じています。
いわゆる「モテ系ファッション」もそうですし、男性を立てるように振舞うこともそう、ちょっとバカな振りをして男性のプライドをくすぐるとか、部活の「女子マネージャー」なんて存在もその象徴ですよね。あまり出世したくないとか、政治の世界は敬遠してしまうなんてものもそうでしょう。

こういう自ら「男尊女卑的振る舞いをしてしまう女子」=「男尊女子」と名付けた上で、なぜあえてそういう行為を選ぶのか、それは、


その手の感覚が連綿と続くのは、男性のせいもあるでしょうが、女性の怠惰のせいもあるのでしょう。男性を、上・先・前に出しておいた方が、ラク。従っているフリさえしておけば、波風は立たないし、考えずに済む。・・・といった感覚が、奴隷根性の連鎖を生んでいるのではないか。「下」でいることには、「無責任」という快感がついてくるのです。
と述べています。

・・・ドキッとしません?(;'∀')

ほーんとその通りです。「男女が平等であること」は「男女ともに同等の責任を負う」ということですから。
そんな責任を負って苦しくなるくらいなら、一歩後ろで補佐的役割でいた方がずっと楽なのです。前面に立つなんてもってのほか。
そういう怠惰な精神をズバリ指摘していて、結構耳が痛い1冊。

「負け犬の遠吠え」もそうでしたが、酒井順子さんの著作は自虐ネタに見せつつも本質にズバズバ切り込んでいくところが痛快ですよね。
ちょいちょいつまみ食い的に著作を読んでいますが、本腰入れて全制覇してみようかなと思いました。


 

評価:★★★

最後は珍しく経済書。意外でしょ。
私がこれ系の本を買うわけないので、当然ながらKindleUnlimitedの読み放題対象であります。



途中でやめてもいっかという思いで読み始めたのですが、経済書としては珍しいくらい読みやすくて、経済の「け」の字も知らない私でも最後までサラッと読めてしまいました。
消費税増税とほぼ同時に出版されたものなのですが、この本の主張は要するに「デフレ脱却が確かなものとなるまでは、消費税の増税などやってはダメ!」というもので、あれやこれやとデータを示しながら力説しています。

ぶっちゃけ半分くらいはよく理解できなかったのですが、この主張云々よりも私が思ったのは、
経済学ってとにかくデータを集めて分析するっていう学問なんじゃな。
ということでして。

でも、データなんて切り口によってある程度はどうとでも結論づけられますよね。だからこそ、経済学者はいろんなデータをいろんな切り口で出して理論武装するのでしょうし、この本でもこれでもかといろんな研究結果や論文のデータ?を提示して著者の主張を補強しています。
逆に言うと・・・たった1つのデータだけ示して「ほら、こうなってるでしょ!?だからこうしないと経済は立ち行きませんよ!!」なんて単純化して危機をあおってくるような言質は怪しいということですよね。
専門外のことは単純化して分かりやすく説明されると「あぁ、そっか!!」と納得して妄信してしまいがちですが、その「分かりやすい構図」に簡単に騙されないだけのリテラシーは必要だなと感じたのが、この本を読んだ一番の収穫でした。


12月後半は以上です!
どれもなかなか満足度の高い6冊でしたが、図書館利用とKindleUnlimitedのおかげで、お金を出して読んだのはハライチ岩井さんの本だけ。なかなかコスパの良い読書月間でありました(*´▽`*)
やっぱり図書館を利用すると読書の幅が広がるので、来年はもう少し積極的に活用していければなと思います。

そして、改めて今年の読書を振り返ってみますと、1年間で読んだ冊数は82冊となりました。
100冊まであと少し!というところですが、今年前半の育休中はほとんど読書せず、82冊のうち70冊は復職した5月以降で読んでいるので(通勤電車と昼休みが読書時間です)、この復職後のペース(1ヶ月に8~9冊程度)で読書が続けば来年は余裕で100冊を超えそうです。
まぁ冊数が多ければ良いというものでもないですが・・・、来年は「100冊読んで100冊分のログ」というのをひとつの目標としてみようかななんて思っています。

この82冊のうちBest5を挙げてみようかなと思ったのですが、かなり難しくて決めきれず・・・。ちょっと今回は見送りです。
もし年明けに書ければ書こうと思います。

昨年の読んで良かった3冊はコチラ↓




以上!なんだか年納め感のない記事で失礼しました(;'∀')

みなさま、良いお年を~♪♪♪

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